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2021.7 脳卒中について

2021.7.17 Stroke

「脳卒中」とは頭の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の表面にある太い血管が壊れて出血する「クモ膜下出血」、脳の奥にある細い血管から出血する「脳出血」の3つを総称した疾患です。この疾患は「早期発見・早期治療」が非常に重要で、治療が遅れるほど手足が動かない等の後遺症が残りやすく、死に至るケースも少なくありません。
画像検査の第一選択は頭部CT撮影です。これにより出血があるかどうか判定します(画像c,dの白く描出されている部分が出血した領域)。時間の経過した脳梗塞も診断できる場合があります(画像bのように脳の一部がより黒く描出されている部分が血管の詰まった脳梗塞領域)。

診断に困るのは画像(a)のようにはっきりとわかる異常がみられないケースです。この場合は「非常に早期もしくは微細な脳梗塞」か「脳に異常なし」の判断に迷いますが、「頭部造影CT」を撮影することで早期の脳梗塞が見つかることがあります。また症状が落ち着いていれば「頭部MRI」も追加することで微細な脳梗塞も含めて正確な診断を下すことができます。
「梗塞」は「血栓」と呼ばれる小さな血の塊が脳の血管を詰まらせているので、t-PAと呼ばれる薬を使って血栓を溶かしたり、カテーテルを使用した血栓回収をすぐに行うことで一刻も早く脳の血流を再開させます。「出血」の場合はその病状によって開頭手術をするかカテーテルによるコイル塞栓術を施行するか判断が分かれます。

「脳卒中」になりやすい危険な人がいます。高齢者はもちろんですが、それに加えて高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、心房細動、喫煙、飲酒などが主なリスクファクターとして挙げられます。
その中でも、とくに最もリスクが高いのが「高血圧」です。高血圧とは心臓から血液を全身に送る勢いがめちゃめちゃ高い状態です。穏やかな川が台風で一気に水かさが増すと水圧で土手を破壊したり堤防が決壊したりします。それと同じことが人の血管で生じてしまうのです。高い圧力をずっと受けている血管は、傷ついたり修復したりする過程で血栓を作り脳梗塞になったり、血管の壁が壊れて脳出血やクモ膜下出血を引き起こすことがあります。

高血圧の他にも、「糖尿病」や「高脂血症」といった病気の方は、血液中の糖や脂肪の量が多いためそれらが血管の壁を傷つけてしまいます。傷ついた血管はかさぶたができるように壁を修復しようとしますが、それを繰り返すことで血栓ができてしまい脳梗塞になってしまうことがあります。その他に「心房細動」は心臓の中の心房と呼ばれる部分が痙攣する不整脈の一種ですが、心臓が痙攣することで血流が悪くなり血が固まりやすく血栓ができることがあります。その血栓が脳に飛んでいくと脳梗塞になってしまいます。
こうした脳卒中のリスクを減らすためにもバランスの取れた食事や適度な運動が不可欠です。とくに最も危険な高血圧を防ぐには塩分を控えめにすることが最重要です。1日の塩分摂取量を「5g」に抑える努力をしてみましょう。また血圧は「140/90(mmHg)」以下を目指すように心がけましょう。